1年生時代 その㉕ 帰り途

先々週のことですが・・・
私は用事があって、子リスの学校に行きました。丁度一年生は下校時で、子ども達は教室から出て、いつもの下校班を作って帰ろうとしているところでした。私の用事は思ったよりすぐに済みました。外に出てみると、一年生達はまだ校庭で何となくぽやぽやしています。それで私は子リスに、
「子リス、お友達と一緒に帰りたいでしょ?ママは先に帰ってるから、皆と一緒に帰っておいで。」
と言いました。
子リスも、それならそうしようか、という様な雰囲気だったので、私は「じゃあね」と小走りに帰り始めたのですが、ふと振り返ると、子リスの下校班の子ども達(4人+子リス)が私について来ています。

A君:「ねーねー、子リスのおかあさん、子リスはお家では喋ってるの?」
この質問にも、大分慣れました。
以前の私は、これを聞かれると、子ども達が無邪気な分ぐっと胸にこたえて、顔がひきつったりしていたものですが、何度も同じことがあるので、段々答え方を覚えて来ました。

   私:「喋ってるよ。うるさいんだよ~、家では。」
  B君:「えーっ、何て言うの?『あ』とか、言うの?」
(これもよく聞かれる質問です。)

   私:「○○君は、お家で『うるさい!』って言われることある?」
  B君:「あるよ。」
   私:「じゃあねえ、きっと○○君と同じぐらい喋ってるよ。」
  B君:「へえ~。子リスね、学校では全然喋らないんだよ。」
   私:「そうなの~。」
  B君: 「なんで学校では喋んないの?」
   私:「何でかなあ。でも、そのうち、喋るからね。待っててね。」
  B君:「うん!」

ここで話題を変えて、
   私:「今日は持久走大会の練習をしたんでしょ?」
子ども達:「した、した!競技場で走ったんだよ!」
   私:「へえ~、すごいね。何週したの?」

子ども達は、「何週だっけ?」「2週?」「ちがうよー。」などと言い合っています。その時、それまで黙っていた子リスが、私の上着の裾を引っ張って、小さ~い声で、
「1週半…。」
子ども達:「あ、子リスしゃべった…。」

子リスは、今日初めて競技場のトラックで練習をしたことを「お家に帰ったらママに教えてあげよう!」と思っていたに違いありません。それが、お友達に先に報告されそうになって来たものだから、ヤキモキしながら話を聞いていたのでしょう。そしてついにたまらなくなり、不本意ながらも(?)声を出したのかも知れません。でも、お友達に聞かれないぐらい小さい声をだしたつもりだったのでしょうけれど、みんなはシッカリと、子リスの声を聞いていました。
子ども達は、初めて子リスが言葉を話すのを聞いて、一瞬驚いて目を丸くしていましたが(その時の子ども達は、何だかとても可愛く見えました。)、とても嬉しそうでした。

それから子ども達は、いつもの様に「子リス~」と言って手でほっぺをむにゅ~っと挟んでみたり、子リスにいろいろ話しかけたりし始めました。

  C君:「じゃあさ、子リス、1+1は?」
 子リス:(手で『2』と出す)
  C君:「じゃあ、3+5は?」
 子リス:(手で『8』)
  C君:「じゃあ、99+158は?」
 子リス:(首をかしげる)
  C君:「・・・」
キミだってわかんないでしょうが。

子リスはとても楽しそうでした。
そんな子リスの様子を見て、私もとても優しい気持ちになれました。
少しずつ、少しずつでも、お友達との世界が出来て行くことを願っています。

10 COMMENTS

はは

おかあさんリスさん、おはようございます。
うちの息子が初めて学校で話した日を思い出しました!
学校で先生とお友達が「この傘○君の?そうだよね?」と言われ
息子は「ちがう!○○君の!」とはっきりぶっきらぼうにみんなの前で答えたそうです。
息子にとってみれば、その傘は同じ青い傘でもきちんととめてなかったし、名前もなかったし、絶対自分のではない!そのことを知っているのは自分だけ、というのもあって、我慢できなかったのでしょう。
子リスくんも子リスくんのプライド(?)のおかげで、自分をうまく表に出すことが出来たんですね!

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おかあさんリス

ははさんへ
こんばんは!場面緘黙症Journal掲示板でも、いつも書き込み拝見しています!
そうなんですね…プライドとか、「これを言わずにおらりょうか」という状況って、意外といいきっかけになってくれたりしますよね。
何でもいいから喋った実績を積むことがいいのかも知れませんよね。
私が今迷っているのは、本人にどれだけ意識させたものか…というところです。2学期も終わり近くになってきたので、ちょっとだけ(私が)焦りだしているのかも…。

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たいやきママ

子リス君すごい!
きっと、優しく素敵な先生、お友達に
恵まれたんでしょうね。

ついさっき知ったんですが、担任の先生が朝の挨拶が
出来ないからクラスの子に
「千円かけたら?」と言ったらしく
お友達が楽しげに
「たいやき君が返事したら千円だ!」と
教えてくれました。
それに私が息子に「たいやきちゃん」と呼ぶと
「先生が甘えるからたいやきって呼び捨てしたほうがいいって
言ってたよ!」と
教えてくれました。
別にあだ名で呼んだからって性格が変わるわけではないし、
呼び捨てされて嫌だと思う子だっているのに
なぜ?と思いました。
最近優しくなったと思っていたけど
やっぱり担任には息子が心を開かないのがよくわかりました。
すみません。私の愚痴でした。

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おかあさんリス

たいやきママさんへ
千円賭ける?甘えるから呼び捨てにしろ?
読んでいて目を疑ってしまいました。
それは、場面緘黙症について先生が理解しているかどうか、ということ以前の問題なのではないでしょうか。もっと言うなら、「教師として」ということ以前の、人間性の問題のように、私には感じられます。
詳しい状況も知らないままに乱暴なことを書いてすみません。でも、先生のそのような発言は、ちゃんと問いただしてよいことだと思います。本当は、「先生の人間性について…」と詰め寄りたいところですが、いきなりそうも行かないでしょうから、緘黙症についての資料を持って面談をしてもらい、「日本では緘黙症というものが殆ど知られていない。そういう状況の中で、先生が緘黙症を理解して下さって、うちの子供を支えて下さると有難い。」というアプローチをしてみるのはいかがでしょう?(もうしていらっしゃるかもしれませんね)
もし、それでらちが明かない時は、もう校長先生なり、その上なりに行ってしまっていいと思います。
そういうことって、「そこまでは…」と気が引けてしまうものですよね。こんなこと書いている私も、実はものすごく臆病で、腰が重くて、気が引けるたちです。本当ですよ。でも、だから、もしたいやきママさんが「これは納得が行かない」ということに対して何か行動を起こそうと思われるなら、私は本当に応援したいと思っています。
勝手にいろいろ書いてしまいました。是非また様子を知らせて下さいね。

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けいこ

こんばんは。おじゃまします。
子リス君、順調ですね~。

おかあさんリスさんはいつも会話を詳しく書いてくださるので、
状況がよく想像できます!

子リス君、思わず声がでちゃったのは、
おかあさんリスさんのリラックスした雰囲気が大きいのでは?と
思いました。

A君の「ねーねー、子リスのおかあさん、子リスはお家では喋ってるの?」
おかあさんリスさんも「子ども達が無邪気な分ぐっと胸にこたえて、顔がひきつったりしていたものですが」と書かれています。

ここから始まる会話は、子リス君も聞いてたんですよね。
子リス君にとって、この会話は勇気百倍と思います。

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おかあさんリス

けいこさんへ
コメントありがとうございます!
子ども達に「子リスは家では喋ってるの?」と聞かれる時、何とか外側はリラックスを装う(?)ことが出来るようになりました。本当は今も、心の中は引きつっているのですが…
「そのうち喋るからね」というのは、質問してきた子どもに対しての答えですが、それ以上に、そばで聞いている子リスへのメッセージとして私は言っている気がします。「ママは子リスがいつか喋れるようになるって知っているよ」ということを伝えたいと思うのです。

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ちゃちゃ

わあ♪子リスくん、やったやった♪すごいですね!
なんだか、私も嬉しいです♪♪!
ママりすさんの、子供たちへの対応の仕方、本当に参考になります。
ママりすさんが、子リス君のお友達とそういったやりとりをしているときって、子リス君はどんな表情をしてますか?
うちの娘は、そういうときは、困ったような、気まずいような、なんともいえない表情になります。そんな娘を見ていると、どうしても私も切なくなってしまうんです。まだまだわたしが強くならなければいけませんね(><)

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おかあさんリス

ちゃちゃさんへ
子リスも、ちゃちゃさんの娘さんと同じように、「困ったような、気まずいような、なんともいえない表情」をしています。私もその顔をみると胸が痛みます。(私はもともと、他の子どもの相手が得意な方ではないですし…。)
心の中は全然平気ではないのだけれど、表面上は出来るだけ「さらっと」処理することで、本人も周りの子ども達も安心するような気がするので、何とか無理やり平静を装っているという感じです。

それから、けいこさんへのお返事にも書いたのですが、「何で喋んないの」攻撃にあった時というのは、
聞いてきた子ども達と、それから本人の両方へのメッセージとして、
「今は喋っていないけどそのうち必ず喋るようになる」と伝えるチャンスとも言えますよね。
勿論、無邪気な質問にとどまらず、本人を傷つけるようなことを言われた場合(大人でも、子どもでも)は、また別の対応が必要だと思います。
一緒に頑張りましょうね!

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のひめ

私も なんで しゃべらないの?は 耳にタコが できるぐらい 聞きましたねぇ (笑)
そして 最初は 顔が ひきつってましたっけ・・・
これって やっぱり 場面緘黙児を持つ親が 乗り越えなければならないことの 
一つなんでしょうね たぶん。
自分より 長女の辛さが 見てられなかったのも 一緒ですもの (*^_^*)

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おかあさんリス

のひめさんへ
やっぱり、そうなんですね。
その時、親が答えている内容を、本人はどのような気持ちで聞いているのでしょうね。
一度、「子リスはなんで喋らないの?」と聞かれた時、私が
「家でお喋りしすぎなのかも」と言ったことがあります。私としては、家ではそれほどよく喋っているということを明るく伝えたかったのですが、それから数日経った日、子リスが急に、
「ママ、ボクは家で喋りすぎてるから学校で喋れないの?」と聞いて来たのです。それで慌てて、
「そんなことないよ。お家でたくさん喋ってるから、学校でも必ず喋れるようになるよ。ママは、子リスが家でたくさん喋っていることをお友達に知って欲しかったんだよ。」と言い聞かせました。
子リスはまだ一年生。その辺も考えなくちゃいけなかったなあ、と反省した日でした。

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