1年生時代 その⑧ 明日は運動会

明日は、子リスの小学校の運動会です。運動会には、特別な思いがあるんです・・・。
幼稚園年中の時の運動会は、一言で言うと「何もしませんでした。」開会式でもお祈りはしない(教会幼稚園です)、ラジオ体操もしない。綱は、引かない。玉入れは、玉を拾わない。ダンスは、踊らない。
ダンスの練習の時、ただ立ち尽くしている子リスを見かねた先生が、「みんなが立ってる時は立つ、しゃがんでる時はしゃがむ、そうすれば、あなたは目立たない!」とアドバイスを下さったお陰で、本番では辛うじて数回、立ったりしゃがんだりしましたが、終始気の乗らない顔で、ダンスをやり過ごしたという感じでした。
そしてかけっこは、ゴールまでゆーっくりと、歩きました。見ていた私達家族は、半ばヤケクソで、「アイツは大物だ」と言い合ったものです。
年長になって、だいぶ成長した子リスは、運動会への意気込みも違いました。特にダンス。もともと歌ったり踊ったりが、本当は大好きなのです。しかも年長さんのダンス曲は子リス好みのノリのいい曲でした。担任のF先生から、「今年はダンス、練習してますよ。」と報告を受け、「ホントォ?」と思ったものの、自分で、「ボクはどうして去年はぜんぜんおどらなかったのかなあ。ヘンだよねえ。」なんて言っているのを聞くと、案外本当に踊るのかもしれない、と期待を持ちました。
そして運動会当日、開会式の入場行進が始まりました。「トントン、まえ」(前の人との間隔を空ける動作)をしながら、きりっと行進して来た子リスを見て、私は早くも涙を流してしまいました。
「行進してる~!」
もうそれからの私達は、いちいち、「体操してる~!」「並んでる~!」「でんぐり返ししてる~!」と大騒ぎです。でも一番感激したのは、やはりダンスでした。曲に合わせて、子リスはちゃんと踊ったのです。ポンポンを持ってとても楽しそうに踊る子リスを見て、私は本当に大泣きしてしまいました。

じゃあ、かけっこも去年とは違うはず。夫・夫の母・私の両親・私が期待の眼差しで見つめる中、子リスの順番が来ました。「よーい、どん!」
走るか?と思いきや、子リスはおもむろに手を後ろで組み、なんと、スキップを始めたのです。
「えっ、スキップ!」予想外のことに、周りも唖然としています。義母は「なにもすきっぷしなくたっていいと思うんだけど…」と、泣き笑い。そして子リスは、ついにスキップしたままゴールしたのです。もう私は胸が一杯でした。F先生が私達のところに来て、「やってくれましたね~。」やってくれました。
ずっと後になってから、子リス本人に「ところでどうしてあの時はスキップしたんだろう?」と聞いてみたところ、「だって走ろうかなと思ったけどできなくて、でも歩いたら去年とおなじだから・・・。」と告白してくれました。あれは進退窮まってのスキップだったのです。
私達にとって、一生忘れられない運動会になりました。
さて明日の運動会はどうなるでしょう!?

1 COMMENT

てちてちママ

子リス君の様子は、うちの息子とそっくりですね。
うちも年中の時は何も出来ず、かけっこは先生が
手を引いても動かず、脇に抱えられて走りました。
年長では、休んだお友達の分まで(人数合わせの為)
立候補してリレーを2回も走りました。足が速かったので
「あの子凄いな」なんて声が聞こえたときには嬉しくて
嬉しくて・・・。先生と抱き合って泣いたものです。

緘黙の子って思慮深い子が多いのではないかと私は
思っています。子リス君も色々考えた結果が
スキップになったのでしょうね。
かわいい姿が目に浮かぶようです(^^)

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