応援部の保護者会に参加した時、顧問の先生がこんなことをおっしゃっていました。
「腕振り、腹筋、腕立て、声出し…、どれをとっても地味な訓練で、ひたすらキツイことをやってます。本当に、来る日も来る日もこんなことして、何か報われることあるのかなあと思うんですけどね」
ご自身も高校時代応援部だったというその先生は、今でも飲み会の帰り道など、外を歩いている時に、ついつい「腕振り」をしてしまうとか。
そんな地味できつい部活を、夏休み以降誰も辞めずに続けているということは、そこには何かしら「魅力」なり、少なくとも「救い」がある筈だと思うのですが、それが一体何なのか、外から見ている私にはわかる訳もありませんでした。それが少しずつ分かって来るのは、秋の文化祭後のことになるのですが…
キツイ要素がさらに濃縮されているというウワサの夏合宿、それは新潟県の古い合宿所で、4泊5日に渡って行われました。どんな練習をして、どんな時程を過ごしているのかなど、勿論聞かされてもいないし、想像もつきませんでした。でも、合宿を生き抜いて(?)帰ってきた子リスは、別人のようになっていました。どれだけ練習で叫んだのか、声は枯れ果てているものの、合宿前の「迷い」のような空気は微塵も感じられず、何かを脱ぎ捨てたかのような顔つき。人はこんなに短期間で見た目が変わるものかと驚くほど逞しくなっていました。
ひたすら感心するとともに、「ああ、こうやってどんどん、家族から離れたところで成長していくんだなあ」と実感した時でした。
これまでも成長に目を見張ったり、同時に寂しく思ったりしたことは何度もありましたが、高校生になると、もはや手の出しようのない段階に行ったことを思い知らされます。
でもそこにはもう寂しさはなくて、ひたすら頼もしさを感じるものなのでした
ところで、
合宿最終日の練習が終わると、その夜は夜通しトランプをして遊ぶのが伝統なのだそうです。ただし、どんな時でも先輩に対する言葉遣いや礼儀などは全く変わらないらしく、例えば出せる札が無くてパスしたい時には、
「パスであります」
なんて言いながら、楽しく遊ぶのだそうです。変な集団。
この年の夏合宿の写真が、随分経ってから手に入りました。
あ一…一生懸命やってたのね。と、同じ応援部同期の母同士で、写真を見ながら語り合いました。休憩時間の一コマですが、一年生はみんなタマシイが抜けているようです。それからもう一枚、その後姿バージョンも気に入っています。子供でもなく大人でもない、紛れもない「高校生」の後姿、貴重だなあ…と思います。