5年生時代 その⑦ ピアノ・3回目の発表会

1年生の時に習い始めたピアノも、5年目となりました。

I先生の教室発表会は2年に1度、市内の小さなホールで開かれていたのですが、今年は幾つかのヤマハ系教室の合同発表会になるということでした。

子リスは過去2回の発表会を、練習も含めてとても楽しんでいて、当日の演奏もなかなか…それなりに…堂々としていたものでした。
演奏者と客席に段差のないフラットな会場はアットホームな雰囲気で、ちょっとしたパーティーのような気分を味わえました。生徒たちは、それぞれの曲をピアノやエレクトーンで披露する他、ハンドベルの演奏に参加できる楽しみもあり、またこの日は特別に、先生や、先生の仲間の音楽家の皆さんの演奏や歌まで聴くことができて、とても楽しい一日なのです。

でも今回は、他の教室と合同という「今までと違う」発表会に、子リスは今一つ気乗りがしないようでした。

「出るよね?」と聞いても、
「出た方がいいのかな…?」という返事。

私としては、せっかく好きなことなんだし、今までも発表会は楽しく参加してきたのだし、そしてもう1つ…人前に出るということは、子リスにとってのちょっとしたチャレンジでもあって、間違いなく成長を促してくれるものなんだから、という、親としてのウラの期待もあったわけで、

「なんで?モチロン出ようよ!」
と強く薦めました。子リスはそう言われると
「うん。」
と、(それ以上言い張る程の嫌さではなかったらしく)出ることになりました。

子リス後日談:「まァ、子供だからね。出ろって言われれば『じゃあ出た方がいいんだろうな…』っていうカンジで・・・。

今回の曲は、ボッケリーニ作曲の「メヌエット」です。
すごく一生懸命、という訳でもないけれど、それなりにちゃんと練習して、当日を迎えました。合同発表会だけあって、演奏者も観客もいつもの3倍はいます。夫と私、そしてちびリスの3人で客席に座り、子リスの出番を待ちます。

やがてその時がやって来て、向かって左側の舞台袖から子リスの姿が現れました。ステージの真ん中まで来て、一礼。お辞儀がぎこちないのは、やはりこれまでの発表会と比べて、緊張しているためでしょう。でも弾き始めれば落ち着いたようで、演奏は上手く行きました。

弾き終えた子リスはピアノの椅子から立ち上がり、こちらを向いて“おずおずと”お辞儀をしました。そして頭が上がり切らないうちに後ろを向いてピアノの後ろ側に回り、中腰のまま右側の舞台袖へと消えて行きました。居心地の悪さが一目でわかる退場の仕方。

「今日発表会に出したのは、間違いだっただろうか」という疑問が頭を過ったことは言うまでもありません。
でも同時に私の胸に蘇ったのは、またしても子供時代の自分自身の姿です。(次回へ続きます)

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