6年生時代 その⑥ 最後の運動会

ついに、小学校の運動会も今回が最後となりました。

思えば子リスの運動会は、毎年ハラハラ、ドキドキさせられ、あるいは呆気にとられ、泣いて笑って…と、あらゆる感情を揺さぶられるイベントであり続けてきましたが、それももう、今年をもってひとまず卒業です。

最後を飾る6年生のプログラムは「組体操」です。
最近では安全の問題から、危険を伴う大技は避ける学校が増え、自治体によってははっきり「禁止」されているようですが、子リスが6年生の頃は、先生も生徒も、それこそ「もっと高く、もっと大きく、もっとすごい技」の成功を目指す風潮のピークだったと思います。

子リス達の学年も、1人を他の2人で高く持ち上げる技、大輪の花を全員で咲かせるもの、肩の上に立って作る“4段タワー”などに続いて、ラストのジャンボピラミッドは7段構成という、かなりの規模のものに取り組みました。今の基準からしたら、ずいぶん怖い事をやっていたものだと思いますが、それだけに見応えは相当なものでした。

 

当時のビデオに入っている
「もう泣いてるの?」

という夫の言葉でわかる通り、私は演技の最初から最後まで泣きっぱなしでした。あの、「徒競走で走る」という当たり前のことさえ出来なくて、歩いたり、スキップ(!)していた子が、みんなと一緒にこんなに立派にやっているのです。しかも最高学年として。夫に笑われたってなんだって、これが泣かずにおらりょうか、という気持ちです。母親なんてそんなものですよねえ。

でも帰ってきてビデオを見てみると、
「これが、幼稚園の時『みんなが立ってる時は立って、座ってる時は座って。そうすればあなたは目立たない』って、言われた、子なんだからねえ。」
という、少々潤んだ夫の声が入っています。
(しかもこのコメント、子リスの2年生と4年生の運動会のピデオにも入っていて、どうやら夫には、2年ごとに子リスの成長をしみじみと思うサイクルがあるらしいということもわかりました)

更に、子供達がすれ違いながら手を合わせて移動する場面では、またしても夫の
「手つないでるよ」
という声。確かに幼稚園時代は、お友達と手をつなぐことが出来なくて、
「ぼくにもキツネザルみたいなしっぽがあったらいいのに。そうしたらしっぽ、つなぐのに。」
と言った子リスではありましたが…。とにかく、父親だってそんなものです!

勿論、成長した子ども達の姿を見て感激するのはどこの親も同じで、保護者席の父、母達はみんな、ビデオやカメラで我が子を追いながら、ハンカチで涙を拭いたり、鼻を啜ったりと忙しいのでした。

子供の成長を見る時、どうしてこんなに胸がいっぱいになるのでしょう。
できることが少しずつ増えて行く姿からは、生きて行こうとするエネルギーそのものが見えるようです。
そして親はそれを目にするたびに、何度も何度も、大きな贈り物をもらうのです。

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