入学式の日は快晴で、校門をくぐると、満開の桜が青い空に映えていました。
岩手出身の私は、『入学式に本当に桜が咲くんだ!』と感激したことを覚えています。桜=入学式というのが、日本の文化のスタンダードであるという認識はありましたが、故郷で桜が見頃を迎えるのはゴールデンウィークの辺りでしたので、「入学式」の看板にピンクの花びらが舞っている光景は、本当に新鮮でした。
そういえば子リスの、小学校の入学式の日は?…と、今更ながらに思い出してみると、確かあの日は曇り空だっただけでなく、心配やら緊張やらで、胸がいっぱい。桜が咲いていたかどうかなど見る余裕がなかったのだなあ、ということがわかります。
さて、入学式の受付を済ませて、クラスを確認しに行きます。1組から名前を探しはじめると…あら、早速見つかりました。また1組。よほど1組には縁があるようです。新入生はそれぞれの教室へ、保護者は式の行われる体育館へ。
「じゃあね」と言おうとしたら、もう全然、私達の方なんて見向きもせず、友達を見つけて走って行ってしまいました。
友達と並んで、ぶかぶかの真新しい制服を着て、前だけ見て、青い空の下を歩いていく姿は、「もう今日からチュウガクセイだからね。小学生じゃないんだからね」と、私達に宣言しているようでした。
中学生の子リス…どうにも想像がつきませんでしたが…
大きくなったことの、喜びよりも寂しさが上回る日も来るかもしれないし、反抗期とやらがあったら、それも成長と考えなくてはいけないんだろうなあ…。
そんな母の思いなんか知らずに、ずんずんステップを登って行きそうな子リスの背中を見ながら、頼もしさ半分、寂しさ半分の気持ちで後ろから歩いたことを、本当につい昨日のように思い出します。