高校時代 その③ 魔が差して [1年生]

「押忍」ってどういうこと?まさか応援部に入った? 
ところがそのまさかは本当で、なんと子リスは、応援部に入部届けを出して帰って来たのです!

「ただいま」
と家に着いた子リスに、
「応援部に入ったの!?」
と聞くと、
「うん。なんか・・・入っちゃったね」
と照れています。

思わず私は、
「スゴイ!やったあ!!いいねえ!!!」
と叫んでしまいました。勿論ものすごく驚きはしたものの、何だかすごく、嬉しかったのです。急に心の中にぱあっ・・・と光が差したような感じがして、理屈抜きに、後先考えずに、私は喜びました。

その晩子リスが眠った後の、夫との会話です。

夫: 「応援部だって。だいじょうぶかな。」
私: 「自分で入ったんだから、大丈夫でしょ。ところで応援部って、声出すんだよね」
夫: 「そりゃそうだろ。声出さない応援部は無い」
私: 「そだよね。大丈夫かな」
夫: 「だから大丈夫かなって言ったじゃん」
私: 「どうして急に決めたのかな」
夫: 「さあ…」

数日後、子リスに直接聞いてみました。
「ねえ、どうして急に応援部にしたの?」

すると、
「まあ…魔が差したんだね」
と言うのです。

魔が差した!

予想もしない答えだったことに驚きもしましたが、同時に、何だか妙に納得したことを覚えています。
普段の自分にはあり得ないような思い切った決断を何故だかしてしまった。まさに「魔が差した」としか思えない程、何かの力に突き動かされて新しい一歩を踏み出してしまった。そんな瞬間が、確かにあります。そして、そこから思いもよらない方向に進路が開けて行ったりするのだから、魔が差してこそ人生は面白い、とも言えると思うのです。

その後、中学校までの子リスを知る人に「子リス君、応援部に入ったんだってね!どうしちゃったの?」と聞かれる度に、「魔が差した、んだって。」と答えることにしていましたが、そうすると相手の人が大概、「ああ、そうなんだ…」と、自分でも思い当たる、と言った表情で頷いてくれるのも何だか嬉しいことでした。

最近の話ですが…

「お兄ちゃん高校生になった時、魔が差して応援部に入ったんだっけ?」
と聞くちびリスに子リスが、
「そうそう。バレー部の『バ』、って書くつもりだったのに、間違って『応』って書いちゃったんだよね。ホラ、点々が同じでしょ。ありがちな間違いだよねー」
と答え、ちびリスが
「そんなワケないでしょ」

と返しているのを耳にしました。話のバカバカしさはさておき、
「子リスが応援部に入った」というのは、今以て語られるほど、本人にとっても私達家族にとっても絶大なインパクトのある出来事だったのです。

ところで、どうでもよいことなのですが…
子リスが志望校を決めるにあたって、私が当初推していたのは別の公立高校でしたが、そこには、制服が学生服だから。私が学生服が好きだから。…というミーハーな理由もちょっとだけあったことを告白します。一方のK高校には制服がなく、私服の学校なのです。
子リスがK高校に決めた時には、「学生服姿見たかったな…でもまあ、それは単なる私の願望だから、そんなことはどうでもいいものね…」とアキラメたのでした。
しかし子リスは応援部に入り、応援やイベントの時には学生服…(とは言わないらしい…「学ラン」。)を着ることになりました。こんな形で私の密かな願いが叶うとは!こんなこともあるものだなあ、と思ったという、本当にどうでもいい話です。

さて、K高校の応援部とは一体どういうものか??
まだ私達は何も知らないのでした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA